SHIROBAKO #03 総集編はもういやだ から見えるチームワーク

SHIROBAKO Advent Calendar 2018 12/23 を担当します。 @roana0229 です。

SHIROBAKOは放送当初から見ていて、考え方や行動することに色々な影響を受けてきました。

今回は#03 総集編はもういやだから見えるチームワークについて書こうと思います。

フォーカスするシーン

16:50~22:10あたりの約5分間です。

太郎の「サーバーにつながらない」という発言から話が繰り広げられていきます。

FTPサーバに繋がらないためデータを落とせず、ギガデータ便を使っても時間がかかりすぎてしまう。 レンタルサーバ会社と連絡がついたが、復旧見通し立たず、バックアップもミラーサーバもポン。 小諸スタジオに依頼していた4話のリテイクカットの仕上げデータがサーバに上げられず、撮入れができない。明日の納品・V編に間に合わない、万策尽きたー!というシーンです。

表立って会話されている裏で電話している会話にも着目します。

チームのそれぞれがどのように行動していたのか

時系列順に書いていきます。

太郎、落合、本田

落合の机で3人が話しています。 FTPからダウンロードできないということ、別の手段としてギガデータ便も試したが時間がかかりすぎてしまうということ、何故時間がかかりすぎるのかという現状の共有・認識をしています。

矢野

3人の会話と並行して電話でおそらく社内システムの人とやり取りをしています。

あ、お疲れ様です。制作矢野ですけれども、今お時間大丈夫ですか?FTPなんですけど、エラーが出ちゃうんですよ。実は4話の納品前で結構急ぎなんですけど、なんとかなりますか?はい。あっもしもしどうでした?まーじっすかー、わかりました、了解です。確認ありがとうございました。失礼します。

その後、落合のデスクで話している3人に電話で聞いた内容を共有して、サーバーの問題は解決することが難しそうだとチームが認識します。

興津

矢野さんの電話が終わって周りに共有したタイミングで電話をかけています。(小諸スタジオに電話をかけるシーンがアップで映されていますね。)

お世話になっております。武蔵野アニメーションの興津と申しますけれども、えくそだす4話の仕上げ上がりの件で確認なのですが、小諸スタジオ様のローカルにまだ残っていたりしますか?本当ですか?実はxxx*1で急ぎデータをxxx。今から伺ってもよろしいでしょうか?よろしいんですか?そちらにはxxxさせていただいてますし取りに行きますが。そうですか、わかりましたー、ありがとうございます。それではお待ちしております、はい、失礼致します。

ここで、4話のリテイクデータが小諸スタジオのローカルに残っていること、そのデータを運んできてくれるという希望を興津さんがチームに共有します。

宮森、矢野

宮森が予定していた9話のカッティングに行こうとしたところ、矢野さんが4話の状況にに一番詳しい宮森だということ、そして今最も解決すべき問題は4話だということを認識させています。

アニメは一人で作ってるんじゃないんだよ、アニメ制作はチームワークなんだ!

という名言が出てきます。

太郎、落合、本田、宮森、矢野、興津

司令塔として宮森に撮影の佐倉さんに撮入れが遅れる共有すること、太郎に宮森の代理で9話の作監入れと回収を頼みます。

しかし、9話のカッティングに入れる人がいない…

そこで会話には入っていない興津さんが

私が行きましょうか?

とピンチヒッターとして手を上げます。「総務なのに?残業しない主義なのに?」と聞かれてもそこに対して反応はせず、「今回だけです」と自ら動きます。

そうして、4話の納品に向かうことができました。

宮森、本田

もっとなんでも言ってくれていいから、一人で抱え込まないで。おれ、心配性だけど司令塔だから、これでも。

宮森の失敗ばっかりで、という言葉に対して

これからよこれから、失敗しないで成長した制作なんて俺知らないもんね。そんで、早くうまく回せるようになってね、期待してるから!

と人に頼っていいこと、失敗をしても良いこと、成長する期待をしていることを伝えます。 また、監督は出来上がったアルピンのカットを見て、泣いていた(良い出来になった)ことを伝えます。

チームとして動くということ

問題が発生した時に現状はどうなっているのか、問題を解決する策はないか、解決するためには自分はどのように行動すればいいのか

アニメは一人で作ってるんじゃないんだよ、アニメ制作はチームワークなんだ!

という言葉がまさにこの3話で表現されているなと思いました。

また、矢野さんから宮森に対する先輩から後輩へのアドバイス、本田さんの司令塔としての役割・チームメンバーにどういうことを期待しているかなど、様々なことが表現されています。

この3話では、このシーン他にも冒頭の方で矢野さんが宮森にアドバイスをし、もう宮森が限界だと感じでいるときの羊羹の差し入れなど、チームの一人・先輩として後輩への手助けをする会話が多く含まれています。矢野さんが宮森にやるべきこと見えるかするために付箋に書いて渡しているのも印象に残っています。


この記事を書いていて知って驚いたのですが、矢野さんが宮森の4話が一番問題だということを話題に出す前に、耳に入ってきた会話から興津さんが小諸スタジオに確認の電話をかけているんですよね。

アニメーション制作会社の総務がどこまでの情報を認識しているべきなのかはわからないですが、興津さんは現場の状況をきちんと理解していることがわかります。 中盤にあったシーンで、宮森が小諸スタジオから電話でFTPサーバーに上がらず今日中には無理という会話を聞いていたのかもしれません。 自分が担当している仕事とは違うはずだが、その状況も理解している。これはとても凄いことだと思いました。

落合の興津さんに対して「やっぱもう一回現場に復帰したらどうですか?」というセリフには、ピンチヒッターとして手を上げたことだけでなく、興津さんのこういう凄さがあるからかもしれません。 これは個人的な考えなんですが、もし興津さんが言われてピンチヒッターを任された場合、この落合のセリフはなかったのかもしれないと思いました。

*1:会話が聞き取れず xxx という形で書いています。